『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』は、棚田行政書士リーガル法務事務所代表の棚田健大郎さんによる著書です。
棚田さんは、本書で紹介されている勉強法を独自に開発し、働きながら3年で、
行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、ビジネス法務エキスパート®、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士、敷金診断士、シニアライフ・相続アドバイザー
の9つの資格に独学で合格したそうです。
本書で紹介されている勉強法は、実践的で、取り組みやすく、効果なやり方だと思います。
いくつか本書のポイントを紹介します。
やってはいけない勉強法
著者が「やってはいけない勉強法」として取り上げているのは、「参考書を頭から通して読んで、一冊読み終わったら徐々に問題集を解いていく」というやり方です。
受験勉強でも資格試験の勉強でも、このやり方で勉強してきた人は多いと思います。なぜいけないのでしょうか。
それは、この方法では、勉強に時間をかけても、一冊読み終わったころには、せっかく覚えた知識を忘れてしまうからです。
なるほど言われてみれば…。
参考書をやっとのことで1回読み終わって、はじめのページに戻ってもう一度読み始めてみると、覚えたはずの知識をほとんど忘れてしまっており、
「全然覚えられない。資格を取れるまでにどれだけ時間がかかるのだろう。ああ、私は頭が悪いなあ。」
「今年も試験日までに勉強が間に合わない。来年こそは間に合わせて受けたいなあ。」
などという展開に陥った経験がある人も、少なからずいるではないでしょうか。
一度覚えたら忘れない!大量記憶表の活用
著者が開発したのは、覚えたことを忘れないように「忘れる一歩手前で思い出す」勉強法です。
勉強の進捗管理には、「大量記憶表」という管理表を活用します(以下の画像はサンプル)。
「大量記憶表」の作り方・運用の仕方は以下の通りです。
- 縦の列に、問題集の項目・問題数を入力します。
1項目の問題数は、多過ぎると忙しい日のノルマが大変になるので、少なめに設定します。 - 横の行に、復習の間隔(数字は日数)を入力していきます。
初めのうちは頻繁に復習し、次第に間隔をあけていきます。 - それぞれの項目ごとに、勉強予定日を入れていきます。
- 予定通りに勉強が終わったら、日付にマーカーで色を付けていきます。
メイン教材は分野別過去問題集
「大量記憶表」で進捗管理していくのは、参考書ではなく、分野別過去問題集(過去問)です。
勉強におけるメイン教材は、参考書ではなくて過去問であると著者は述べています。
ただし、いきなり過去問を解いていくというわけではありません。
まずは、過去問の問題文と解答解説文を熟読していきます。
そして、解説文を見てわからない単語が出てきた場合や、解説文にからむ法的手続きの一連の流れが知りたい場合などに、参考書を読んでくわしく調べます。
つまり、参考書を辞書がわりに使用するのです。
参考書を見てわかったことは、過去問の解説文にどんどん書き込んでいきます。
こうした作業を行うことで、過去問の情報が、しだいに有機的に整理されていきます。
以上のように熟読を終えた後に、問題演習を繰り返していくのです。
まとめ
著者の棚田さんは、YouTubeの「棚田行政書士の不動産大学」というチャンネルを開設していらっしゃいます。
そして、「大量記憶表」を使った勉強法についても、本書の出版以前から動画で配信が行われていました。
私は以前、その動画をたまたま見て、試しに「大量記憶表」を手書きで作成し、特定分野の勉強をしてみたことがありますが、確かに、勉強がはかどりやすく、とても有効なやり方だと実感しました。
これからも機会があれば活用していこうと思っています。
不思議なもので、いったん進捗管理表を作ってしまうと、予定通り進めたいという思いが自然と湧いてきて、勉強で挫折しにくくなるのです。繰り返しに対する心理的抵抗も低くなります。
いわゆる見える化による効果です。
大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法 [ 棚田 健大郎 ] 価格:1,540円 |
本書では、この記事で取り上げたやり方の他に、音声の活用など、役に立つ勉強法がたくさん紹介されています。
資格試験や受験勉強のやり方で困った経験がある人は、本書を一度手に取ってみてはいかがでしょうか。